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 しょうなんでんしゃ のブログ
 1/80くらいの鉄道模型の工作
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オキシドール エッチング(1)
<オキシドール-クエン酸-食塩 エッチング>

塩化第二鉄溶液を使ったエッチングの他にオキシドールエッチングがある。これも自作プリント基板では有名な手法である。

大物のプレート制作をすると結構な量の塩化第二鉄が消費される。廃液処理も面倒だが、ワークや器具を洗浄すると知らぬ間に洗液が跳ねて、あとで赤い鉄サビがあちこちに生じるのが嫌だった。


材料はt0.5の真鍮板。F式なのでレジスト(防蝕膜)はトナー、ベース紙はダイソーの光沢紙を使い、ナフサ洗浄後にアイロンで熱転写した。裏面はセロハンテープでマスキングしておいた。

反応容器(プラのタッパーなど)にクエン酸と食塩を取り、オキシドールを加えて腐食液を調製した。

最初は無色透明な腐食液だがエッチングの進行とともに銅(と亜鉛)が溶け出し、徐々に青緑色が濃くなってくる。
オキシドールクエン酸塩01

ご覧のように、微細な泡や大きな泡が生じる。
オキシドールクエン酸塩02

結果はこんな感じである。
オキシドールクエン酸塩05

塩化第二鉄(エジンバラ液)を使うと腐食面は滑らかなものの、全体的に赤く変色してしまう。
逆にオキシドールでは腐食面が梨地になるものの、キレイな真鍮色のままだ。

(つづく)
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トナーのワックスを洗い流す
≪ トナーのワックスを洗い流す ≫


1.概 略

・F式エッチング法おいてレジストとして使われるトナーには、ワックス成分が含まれている。
・トナー原稿を印刷後、ワックス成分がトナー表面に残っていることを知った。
・ワックス層を除去すればトナーの定着力(ぬれ)が向上し、エッチング不良を防げるのではないかと考えた。
・トナー原稿の段階でワックス層を洗い流すことによりエッチング不良を改善することに成功した。


2.はじめに

 F式エッチング法(以下、F式と略す)が2006年に暫定公開されて以来、自作プリント基板や簡単なプレート類から細密な模型部品にまで活用され、自家エッチングの汎用性は大幅に広げられた。最大の特徴はレーザープリンター(またはコピー機)のトナーをエッチングのレジスト(銅版画ではグランド:防蝕剤)に利用した点と、ベース紙に印刷したトナー原稿をアイロン(またはラミネーター)で金属板に熱転写する点であろう。

 一方で手軽に出来る分、失敗することも多々ある。F式の公開後、多くのアマチュア研究家たちが最良な方法を求めて様々な試行錯誤を繰り返している。
 オリジナルのF式ではベース紙にフジフィルムの画彩(通称“ぶどう”)が選ばれていたが、それが廃版になった今、新たなベース紙を探し求める研究家も多い。そこを狙ってなのか自作プリント基板用として2種類のベース紙が市販されている。
1)黄色で廉価な「 aitendo パターン転写シート 」は、入手したものの残念ながら表面(印刷面)の粗さが目立つ。
2)青色で高価な「 Techniks Press-n-Peel Blue Transfer Film 」は鹿ヶ谷軽便鉄道の吉岡氏がトナー転写基盤のページで紹介されていたが、氏も結局は価格(入手性も?)の面で最終的に普通紙で制作されていた。


 筆者はWEBで良しとされたダイソーの光沢紙を使い、比較的大きな物にはある程度の結果を得たが細密エッチングには向かなかった
 熱転写についても、ラミネーターに何回も通す方法もあればアイロンで加熱・加圧する方法もある。ラミネーターを使えば毎回同じ条件で熱転写が行える。アイロンを使えば加圧力を調節できることや1輌分のナンバープレートだけなど小物でも扱いやすい。

 このように様々なベース紙や熱転写の方法が検討されているにも関わらず、F式エッチングで失敗するのは何故か?


3.本 論

 筆者も切り抜きナンバーのエッチングで良い結果を出せずにいた。エッチングの途中でトナーが剥がれてしまうのだ。自家エッチングについてdda40x氏と意見交換したとき「金属板に対するトナーの“ぬれ”が良くない」と述べられた。
 そんな折、手当たり次第にトナーについて検索していると「トナー用高純度エステルワックス」(※PDFファイル)という研究報告を目にした。その中の模式図を見て驚き、そして確信した。
「“ぬれ”を低下させているのはトナーに含まれるワックス成分である!」

 ザックリ言うと、トナーとは樹脂と顔料とワックスが結合した微粉末である。印刷の仕組みは感光ドラムに付着したトナーがコピー紙に転写され、ヒートローラーの加圧と加熱で融かされてコピー紙に定着する。最後のヒートローラーに巻き付かないのは、トナーが加熱されてワックス成分が融け出すとローラーとの間で“離型剤”として働くからである。

 ベース紙に印刷されたトナー原稿はワックス層がトナーの表面に向いた状態となる。F式の問題点はそこにあった。ワックス層(=離型剤)を金属板に向けて加圧・加熱していることになる。

 つまりトナー原稿を使うF式は必然的にワックスに邪魔されているのだ。

 それではトナー原稿の表面にあるワックスを除去すれば良いのではないか?

ナフサ洗浄


4.方 法
 トナーの樹脂成分は主にアクリル樹脂、ワックスの正確な成分は不明だが極性の低い(=脂溶性が高い)物質だと考えた。ベース紙や樹脂を溶かさずワックスのみを溶解せしめる溶剤として安物のライターオイルを使ってみた。ライターオイルの成分は石油精製ナフサ(C5~C10程度)である。揮発性が高くて危なっかしいので使わずにいた。お得意のベンジン(n-ヘキサン)でも良いが、さらに炭素数の多い灯油では揮発性が劣るのとニオイが臭すぎるので好きではない。

 印刷したトナー原稿にナフサを掛け流してワックス層を洗い流す。瓶に入れたナフサにトナー原稿を漬けても溶けたワックスが薄く拡がるだけである。筆で多少こすってもトナーには影響がなかった。


5.結 果

 先回に一番良い結果だったもの。
OERナンバー17
 エッチング中にトナーが剥がれてきたので、文字はまだ太いが引き上げてクエンチした。

 今回、トナー原稿をナフサで洗ったもの。
IMG_2234.jpg
 「何だ失敗じゃねーか」と思われるであろう。しかし筆者は驚いた。随分と痩せ細ってしまったが一文字も欠落せずに残っているのだ。すべての文字のトナー(=レジスト)が残っていたため引き上げが遅れてサイドエッチングが進行してしまった点が悔やまれる。(今後、良い結果が出たら画像を更新しようと思う。)

<2019/10/9、追記>
再度、ナフサ洗浄によるナンバーのF式エッチングを試みた。
(左:前回、右:今回)
IMG_2268.jpg
所々欠落したが概ね良好という印象だった。右上の「1」はトナー原稿の段階から欠けていた。サイドエッチングを恐れるあまり早めに引き上げてしまったが、前回より太く、無洗浄よりはスリムになった。

6.まとめ

・トナー原稿の表面にあるワックス層を除去することで、金属板へのトナーの定着力(ぬれ)が向上することが判った。
・ワックス層を除去する溶剤は無極性のナフサ(安物のライターオイル)で行えることが判った。
・トナーが剥がれにくいので、気付かぬうちにエッチングが進行し過ぎる点に注意する必要がある。


以上である。

もう少し条件を変えて検討したい・・・と言いたいところだが、それでは車輛の完成が遠のいてしまう。
誰かチャレンジしてみて欲しい、ライターオイルを掛けるだけなのだ、もちろん火気厳禁で。
洗面台のツマミの破損
我が家の洗面化粧台はかれこれ15年使っている。水を溜めるためには脇のツマミを押し引きする。
上げ下げ型のツマミはステンレスなどの金属製が多い。これは樹脂製だ。

爽やかな日曜日の朝、これが破損した。

・・・軽便祭は諦めた。

(写真の引き棒の穴は後から開けたもの)
取っ手1

ツマミと引き棒も樹脂製でありT字の付け根で割れていた。
「あぁ、ウチもか・・・orz」 
応力が集中したのだ。

取っ手破損

接着剤でチョチョッとくっ付けてもまたすぐ外れるのが目に浮かぶ。引き棒の素材は不明だがおそらくPOM(ポリアセタール)と踏んだ。接着は絶望視された。
グイッと引っ張る場所なのになぜ金属を使わないのか?これだけのために洗面台を買い換えるなんてアホらしい。修理を呼んで部品交換だけでも1万円は下らないだろう、あぁこれも“商売”なのか・・・。

手持ちの材料を思い出し、無い知恵を絞った結果、ステンレスの長ネジでツマミを貫通してネジ止めすることにした。


さて、樹脂の引き棒に下穴を開けて、タップを切って、ネジ止めした。Φ6の引き棒ならM3くらいか、2.5mmの下穴を開けた。

と、文字で書くのはたやすいが、
・まず、引き棒が外れない。
・グルグル回ってしまう。
・棒の中心に真っ直ぐ下穴を開ける。
・ネジ部は10mmくらい欲しい。
・そして、割れたら THE END 。

思いつくのは、引き棒にテキトーなパイプを被せて、これまたテキトーなパイプをガイドにドリルで穴を開ける、という方法であろう。しかしそんなパイプなど都合良く持ち合わせていなかった。

使えそうなものは無いかと工作室を見渡したら、ER16の春コレット(※)とM3用の長ナットが都合良くあった。
ERコレットをこんな使い方したら、たぶん怒られる。
しかしパイプと違い、指で引き棒をギュッと締め付けられるのは大きな利点だ。

取っ手2

ERコレット(5-6mm用)のお尻にM3の長ナットが丁度入った。
いきなり2.5mmのドリルだと樹脂棒は確実に割れる。0.7あたりから始めて1.0→1.5→2.0→2.5と徐々に穴を広げた。
M3の長ナットを使ったのは、ネジ穴(内径?)が2.5mmという点に目を付けたから。
下穴を徐々に広げるときストレートドリルではなくミニルーター用のドリルを使った。軸径が2.35mmなのだ。長ナットの内径が丁度ガイドになる。これで引き棒の中心に下穴を開けられた。

次にタップを立てた。
M3のタップは軸が4mmである。外径6mm-内径4mmのプラパイプが手元にあったので、L=10mmほどに切ってコレットに差し込んでガイドにした。
取っ手3

少しずつ少しずつタップを立てていった。

約10mmほど雌ネジが切れたところでM3の長ネジを入れてみた。
引き棒は割れていない。割れ止めとして針金を巻いておくとさらに安心だろう。
取っ手4

ツマミにはΦ3の貫通穴を開け、ナベネジの頭を沈めるため6mmのドリルで座繰った。ドリルだけでは底部にテーパーがつく、最後はエンドミルでオシャレに仕上げてみた。

穴あけもタップ立ても必ず電動工具を使い、「進行方向と回転方向」だけに力を掛ける。ピンバイスなど手持ち工具では回転軸がブレてワークが割れたりドリルやタップが折れるのだ。


ネジ頭が露出しているが、まぁ良しとした。頑張った証しだ。
あと5年くらい、せめてリフォームまでは耐えて欲しい。
取っ手5

破損から4時間で修復できた。実働2時間、あとの2時間はひたすら工具を探していた。買ったのは覚えているが見つからない!

工具はすぐ使える場所にあるべきだと痛感した。

※スプリングコレットをAliexpressで探すと、商品名は「春コレット」。
タンニン酸と鉄の反応
初めに、これは“鉄”の黒染めに限った方法であることをお断りしておく。
そのため真鍮や洋白などの“銅合金”には使えない。

「じゃあ、ステンレスは?」
・・・“ステイン(stain)”が“レス(-less)”なのだ。業者に任せた方が無難である

金属の鉄(0価)は酸化されると鉄イオンになる。鉄イオンには二価(Fe2+)と三価(Fe3+)が存在する。三価の鉄イオン(Fe3+)はフェノール類と反応して青~紫色に呈色する、これはフェノール性水酸基の検出反応として知られている。

ベンゼン環に水酸基が複数あるポリフェノール類の中でも、タンニン酸(※)と三価の鉄が結合すると水に不溶性の黒色錯体を生じる。これがタンニンを用いた鉄の黒染めの原理である。
(※タンニン酸はタンニンが加水分解されて生じたもの)

黒インク(ブルー・ブラックインク)、江戸時代までの鉄漿(おはぐろ)、南部鉄瓶の防錆にも利用されており、近年では防錆と装飾を兼ねてナイフの黒染めをする人もいる。ちなみに黒インクは西洋の文化であり、東洋は煤と膠から作られた墨すなわちカーボンブラックである。

さて、鉄の黒染めに使われるタンニン酸の元になるタンニンを得るにはいくつかの方法がある。
古くは五倍子という虫コブから得る方法が鉄漿(おはぐろ)やブルー・ブラックインクに使われていた。南部鉄瓶の場合は緑茶が使われるとのこと。ナイフの黒染めでは紅茶がトレンドらしいが、食酢を入れるので臭いが強烈だそうな。
ちなみに嗜好飲料中のタンニン、カフェインの含有量(PDFファイル)によると、緑茶と紅茶でさほど差は無い。

また、タンニン酸を主成分とした錆転換剤も売られているが、結構な御値段だ。その他、柿渋でも鉄の黒染めが出来る


さてさて、
黒染めの方法はいたって簡単。

鉄の表面をよく磨いておく。(再掲)
鉄黒染 (1)

そして煮る。
鉄黒染 (3)

時々空気にさらしながら10分も煮ればこうなる。
鉄黒染 (4)

キッチンペーパーで軽く磨いたところ。
鉄黒染 (5)

ゴシゴシ洗ってみた、何だかまだまだのようだ。
鉄黒染 (6)

煮汁を捨てたら真っ黒!黒インクが生じたのと同じだ。
鉄黒染 (10)

磨いては煮るを繰り返すらしいが・・・面倒だ(←でた!)

偶然(?)にも試薬のタンニン酸があった、エッチングの時に遊んだ残りだ。
鉄黒染 (7)

比較のために先の黒染め膜をスチールウールで剥がした。

水で練って擦り付けただけで変色してきた、スゲー。
鉄黒染 (8)

同様に10分間煮てみた。
鉄黒染 (13)

装飾品ではないのでこれでヨシとした。
良く洗ってから防錆油を塗って切断機に取り付けた。

<おわり>
鉄の黒染め
切断機の輪っかを叩いたり削ったり磨いたりしたのでピカピカになってしまった。
これではすぐに赤錆が生じてしまうので黒染めしてみた。

鉄の黒染めは「ブルーイング」とも呼ばれ、黒光りした銃身がそれである。防錆効果と装飾も兼ねた表面処理の一つらしい。
さすが銃社会、とはあまり大きな声で言いたくないが、米国バーチウッド社から各種黒染め液が発売されている。わが国でもモデルガンショップなどで入手でき、モデルガンのみならずゴルフのアイアンヘッドからコレクションナイフまで幅広く使われている。

ただ結構なお値段だ。それに「Toxicがどうのこうの・・・」と書かれている、成分表示が無いのは化学屋にとって気持ち良いものではない。筆者もバーチウッドのBrass用黒染め液を持っているが、正直いさみやの常温黒染め液の方が使いやすい。

そこで鉄の黒染め剤として選んだのが「百均の粉末緑茶」だ。これ以上安全なものは無い。

鉄黒染 (1)

「お茶で黒染めだなんて、バカも休み休み言え!」
という人と、
「なるほどネ!」
という人がいると思う。

(つづく)
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