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 しょうなんでんしゃ のブログ
 1/80くらいの鉄道模型の工作
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過炭酸ナトリウム!?
 久しぶりに化学の話でも。

 お掃除に使われるセスキ炭酸ソーダが話題になったのは、もう6年以上も前のことだ。炭酸ナトリウム(Na2CO3)と炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の1:1の混合物である。ナトリウムイオン(Na+)が3個、炭酸イオン(CO32-)が2個、2で割ってナトリウムが1.5個だから「セスキ-:sesqui-」とのことだが、0.5個の水素イオン(H+)がどこへ消えたかは知らない。

 時は下って使用済みエッチング液(塩化第二鉄溶液)の再生、つまりFe2+をFe3+に再酸化できないか検討していた頃、空気中の酸素(O2)やら3%過酸化水素水(オキシドール、H2O2)やらを用いてみたが、イマイチ満足な再生は出来なかった。塩素(Cl2)をバブリングすれば塩化物イオンの補充にもなると思ったが、素人が気体の塩素を扱うのは危険だ。割と安定な過酸化物を探していたら、『過炭酸ナトリウム』という妙な名前の代物に出くわした。

 中学・高校と、真面目に化学を修めた人なら「過炭酸などあり得ない」と想像できよう。炭酸イオンがCO32-(炭素の酸化数:+Ⅳ)なので、その上となるとCO42-(酸化数:+Ⅵ?)となる計算だが、こんな構造書ける訳がない。炭素から腕が5本(酸素原子が配位しているから正しくは6本)出ているというのか?
※ 過酢酸(CH3CO-O-O-H)のように、「-O-O-」結合をもつ過酸化物(ペルオキシド:peroxide)としてペルオキソ一炭酸(HO-CO-O-O-H)もあるが、今回のとは別物である。


 しかし現に存在するのだ。

 コレである。・・・またお掃除系か!!
NaPercCrbonate0.jpg

 よくよく調べると、炭酸ナトリウムと過酸化水素の2:3の混合物であった。過炭酸は言い過ぎじゃないのか?と思ったが、製造業でも通用しているらしい。もちろん「炭酸ナトリウム過酸化水素付加物」という真っ当な一般名称がある。

 比較的多量の過酸化水素を固体として安定に保存できるという珍妙な混合物だが、結局は使用済みエッチング液の再酸化は叶わなかった。炭酸ナトリウムを含有しているためアルカリ性であり、一方の使用済みエッチング液は強酸性である。混ぜれば直ちに中和されて二酸化炭素が飛んでハイおしまい。残ったのは小汚い水酸化鉄とNaCl(=塩:しお)である。

 500 gも買い込んで「使えませんでした」では情けない。ならば本来のお掃除用に具してみようと考えた。洗濯槽の洗浄なら一気に500 g使えて清々する。

 洗濯機を買ったまま手入れしないと、ワイシャツに海苔のような汚れ(=カビ!)が付くのである。洗濯槽クリーナーなる塩素系の洗浄剤を一瓶使っても、ちーともキレイにならなかったのだ。ダメ元で残りの約500 g弱を一気に使った。(以下の洗濯槽洗浄の様子は今日行った。年末以来、4か月ぶりである。)

 みるみる汚い海苔状のカビが浮いてきた。過炭酸ナトリウム、侮れない!
NaPercCrbonate2.jpg

 カビが浮いたのは目出度いが、この後が大変だ・・・。

 屑取りネットでは取り切れなかった分が浮遊しており、脱水までかけてもまだ残る。洗浄中に部屋の掃除で使った雑巾を洗濯してみたが、見事に海苔(=カビ)の残りが付く。
NaPercCrbonate3.jpg

 残った海苔(=カビ)まみれの雑巾を洗面台ですすいだら、こんなに付いていた。
NaPercCrbonate4.jpg

 何もせず普通に洗濯物をかけたら酷い目に合う。せっかく時間をかけて普段やらない洗濯機の手入れをしたのに、家族から文句を言われてはやり切れない。このあと3回ほど洗濯槽の空洗浄を繰り返してやっと落ち着いた。やはり2~3か月毎に手入れすべきなのだろう。

 過炭酸ナトリウムは塩素系の洗濯槽クリーナーより洗浄力はあるが、後始末がとても大変というオチである。

 ちなみに筆者は大掃除にしても、今日のような暖かい日や夏場に行う。水温や気温がわずかでも上昇すれば洗浄剤の反応速度は飛躍的に高まる。年末の寒い時期に手をかじかませながら、一生懸命台所周りの油汚れを落とすのはいささか愚かな行為であり、プラグマティズム(pragmatism)に欠如していると感じる。理科の先生は何を教えているのだろうか?

 もちろん、新たな年神様を迎えるため(と家族の顰蹙を買わないため)に、窓拭きなど一通りの掃除は行っている。

(台所や部屋の掃除、風呂場や洗濯機の手入れなどは筆者の役目である。模型製作が遅々として進捗しないのも何となくお察し願いたい…)
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マグネチックスターラーの交換
 エッチングに使っていたマグネチック スターラー(Magnetic stirrer)を交換した。

 コレ↓は今まで使っていたもの。とりあえず回れば良いという条件で、数年前にヤフオクで求めた安物の中古品、2-3千円だった。スピード調節は出来たのだが低速域が速すぎた。その後エッチングには加温が必要と判ったので、ポットのお湯をチマチマと交換していたのだが、いい加減疲れた。やはりヒーターは必要だと痛感した。
スターラー1

 そしてコレ↓が新しく導入したもの。ヤフオクだが新品で8,500円だった。一回り小さくなった。ミニスタンドも付いて回転数も100~1600rpmと低速が効くのが嬉しい。加温は380℃まで出来るそうだが、エッチングなら40-50℃で十分である。
(右のPETボトルは大きさの比較用)
スターラー2

 これにも一つ問題点があった、3線の電源プラグが真っ直ぐなので後ろの壁にぶつかる。そこでL字のケーブルを(やっぱりヤフオクで)求めた。500円+定形外郵便で入手できたので秋葉原までの交通費より安い。ケーブルの長さも2.4mと十分である。
(左:買い直したL字の電源ケーブル、右:付属の電源ケーブル)
スターラー3

 ちなみにスターラーチップ(撹拌子)もヤフオクなどで買ったものだ。容器はジャムの空き瓶や百均の蓋付きタッパーを使っている。

 スターラーが回っていると安心するのは実験化学者の性(さが)なのかも知れない。

<箸休め>
 研究室時代には担当教官と話し合って研究の方向を決めていた。それ以外にも“自分でやってみたい実験”というものが誰しもあるらしい。コッソリおこなって上手いこと結果が出れば報告会でお知らせ出来る。ただそれが見つかると「何でこんなことやってるの!#」と御説教を頂戴するはめになる。聞いた話では実験台の下にある収納の中でスターラーを回していた人もいるとか・・。どうやってTLCチェックをしていたのか気になる。筆者もそこまではやらなかった(手持ちのスターラーの数も限られていた)が、教官が来ない日・祝に反応をかけて後処理まで済ませていた。研究室が休みでも学会発表や論文発表が迫っている人が誰かしらいた。結局、1年間で360以上の反応をかけたので、1日1反応以上行っていたことになる。実験の腕は上がったが、そのようにコッソリ行う実験に限って、思わしい結果は得られないものだった。
元素名の由来・語源
 長い間「そういうものなのだ…」と受け流してきたことが、ふとした時に明らかになると何だか嬉しい。

 元素記号は中学2年あたりから登場する。

 水(H2O)や二酸化炭素(CO2)といった身近な物質が例示され、塩酸(HCl)と水酸化ナトリウム(NaOH)の中和など、有名な化学反応から元素記号で表記されはじめる。そして周期表(当時は周期律表)の水素(H)~カルシウム(Ca)までを「水兵リーベ、僕の船・・・」という有名な語呂合わせで覚えると思う。

 化学が苦手な人は、まずここでつまづくだろう。

 ヘリウム(He)やナトリウム(Na)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)など「~ィウム」は読みのままなので判りやすい。水素(H)や酸素(O)、塩素(Cl)といった「~素」のような漢字表記は覚えるしかない(なぜかフッ素(F)だけ頭文字が一緒だが・・・)。漢字表記でも硫黄(S:sulfur)や銅(Cu:copper)、亜鉛(Zn:zinc)はその英語名から何となく連想できる。問題なのは読みや英語とは全く関係のなさそうな元素記号だ。鉄(iron)がFe、金(gold)がAu、銀(silver)がAg、e.t.c.


 何となくやり過ごして高等学校へ進むと、“有機化学”のお出ましである。

 1(mono-)、2(di-)、3(tri-)・・・からはじまって、簡単な有機化合物の命名法(IUPAC名)を覚える。

 すると、今度はその読み方で疑問が生じる。
・R-SHをなんで“チオール(-thiol)”って読むの?硫黄だから“サルファ(sulfur)”じゃないの?
・ジアゾニウムの“アゾ(azo-)”は窒素のことらしいが、窒素なら”ニトロ(nitro)じゃないの?

 その頃になると受験が控えているので正直、元素名の由来どころではなくなる。


 医薬品を扱うようになると有効成分の構造も一層複雑となり、IUPAC名では長すぎて覚えられない。そこで基本骨格を「△△系」「○○系」という具合に分類することが多い。
 例)ベンゾジアゼピン系(benzo+di+aza+epine)=ベンゼン環の1辺がベタッと付いた(benzo-)、2個(di-)の窒素(aza-)を含む、不飽和7員環(-epine)を基本骨格に持つ一群のこと。

ジアゼパム

 さて、今度は成分名(一般名とも)の他に商品名も覚えなければならない。商品名は分子構造よりも“効能が判りやすい”事が重要となる。上記のジアゼパムに「ホリゾン(Horizon)」という商品がある。意味は文字通り“水平線(horizon)”、すなわち「安定・落ち着き」である。


 「プラグマティック化学」を手にしたとき、元素名の意外な由来に驚いた。

 そしてWEB上でも元素名の語源集というサイトを見つけた、これもかなり詳しい。どうしても語源が気になって、突き詰めたい人達も少なからずいるようだ。
タンニン酸と鉄の反応
初めに、これは“鉄”の黒染めに限った方法であることをお断りしておく。
そのため真鍮や洋白などの“銅合金”には使えない。

「じゃあ、ステンレスは?」
・・・“ステイン(stain)”が“レス(-less)”なのだ。業者に任せた方が無難である

金属の鉄(0価)は酸化されると鉄イオンになる。鉄イオンには二価(Fe2+)と三価(Fe3+)が存在する。三価の鉄イオン(Fe3+)はフェノール類と反応して青~紫色に呈色する、これはフェノール性水酸基の検出反応として知られている。

ベンゼン環に水酸基が複数あるポリフェノール類の中でも、タンニン酸(※)と三価の鉄が結合すると水に不溶性の黒色錯体を生じる。これがタンニンを用いた鉄の黒染めの原理である。
(※タンニン酸はタンニンが加水分解されて生じたもの)

黒インク(ブルー・ブラックインク)、江戸時代までの鉄漿(おはぐろ)、南部鉄瓶の防錆にも利用されており、近年では防錆と装飾を兼ねてナイフの黒染めをする人もいる。ちなみに黒インクは西洋の文化であり、東洋は煤と膠から作られた墨すなわちカーボンブラックである。

さて、鉄の黒染めに使われるタンニン酸の元になるタンニンを得るにはいくつかの方法がある。
古くは五倍子という虫コブから得る方法が鉄漿(おはぐろ)やブルー・ブラックインクに使われていた。南部鉄瓶の場合は緑茶が使われるとのこと。ナイフの黒染めでは紅茶がトレンドらしいが、食酢を入れるので臭いが強烈だそうな。
ちなみに嗜好飲料中のタンニン、カフェインの含有量(PDFファイル)によると、緑茶と紅茶でさほど差は無い。

また、タンニン酸を主成分とした錆転換剤も売られているが、結構な御値段だ。その他、柿渋でも鉄の黒染めが出来る


さてさて、
黒染めの方法はいたって簡単。

鉄の表面をよく磨いておく。(再掲)
鉄黒染 (1)

そして煮る。
鉄黒染 (3)

時々空気にさらしながら10分も煮ればこうなる。
鉄黒染 (4)

キッチンペーパーで軽く磨いたところ。
鉄黒染 (5)

ゴシゴシ洗ってみた、何だかまだまだのようだ。
鉄黒染 (6)

煮汁を捨てたら真っ黒!黒インクが生じたのと同じだ。
鉄黒染 (10)

磨いては煮るを繰り返すらしいが・・・面倒だ(←でた!)

偶然(?)にも試薬のタンニン酸があった、エッチングの時に遊んだ残りだ。
鉄黒染 (7)

比較のために先の黒染め膜をスチールウールで剥がした。

水で練って擦り付けただけで変色してきた、スゲー。
鉄黒染 (8)

同様に10分間煮てみた。
鉄黒染 (13)

装飾品ではないのでこれでヨシとした。
良く洗ってから防錆油を塗って切断機に取り付けた。

<おわり>
鉄の黒染め
切断機の輪っかを叩いたり削ったり磨いたりしたのでピカピカになってしまった。
これではすぐに赤錆が生じてしまうので黒染めしてみた。

鉄の黒染めは「ブルーイング」とも呼ばれ、黒光りした銃身がそれである。防錆効果と装飾も兼ねた表面処理の一つらしい。
さすが銃社会、とはあまり大きな声で言いたくないが、米国バーチウッド社から各種黒染め液が発売されている。わが国でもモデルガンショップなどで入手でき、モデルガンのみならずゴルフのアイアンヘッドからコレクションナイフまで幅広く使われている。

ただ結構なお値段だ。それに「Toxicがどうのこうの・・・」と書かれている、成分表示が無いのは化学屋にとって気持ち良いものではない。筆者もバーチウッドのBrass用黒染め液を持っているが、正直いさみやの常温黒染め液の方が使いやすい。

そこで鉄の黒染め剤として選んだのが「百均の粉末緑茶」だ。これ以上安全なものは無い。

鉄黒染 (1)

「お茶で黒染めだなんて、バカも休み休み言え!」
という人と、
「なるほどネ!」
という人がいると思う。

(つづく)
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