FC2ブログ
 しょうなんでんしゃ のブログ
 1/80くらいの鉄道模型の工作
201905<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201907
規格制定についての一提言
規格制定についての一提言

<はじめに>
 近年、我が国ではいくつかの鉄道模型クラブが活発な交流を見せている。合同運転会も関西を皮切りに、関東やその他の地域で開催されるようになった。その中の楽しみの一つに、複数のクラブレイアウトを線路でつなげた“乗り入れ運転”がある。自慢の車輛たちが広い会場の端から端まで行ってそして帰って来る。当然その途中にはカーブもあり、分岐もあり、鉄橋もある。遥か彼方を快走する車輌が、手元まで無事に帰って来る姿には、一種の感動を覚える。

<目に見えない規格が存在する>
 では、なぜ“乗り入れ運転”が可能なのか?
 それは線路と車輪、建築物と車体寸法がある程度の範囲内にあり、皆がそれを守っているからに他ならない。この“範囲”は規格と呼ばれる。このように、鉄道模型には規格が存在する。しかし何事もなく楽しめている時には、その存在に気付かない。脱線や接触などの事故は、寸法に関する規格を逸脱したときに発生する。
 規格は寸法だけではない。パワーパックの容量や電圧調整法・整流方法※1がそのモーターと適合していないと、ブレーカーが飛んだり、モーターから異音がしたりすることもある。ストレスなく鉄道模型を楽しむためには、ある程度の規格を皆で守る必要があるのだ。
※1メルクリンやDCとDCCの違い、「右側プラス前進」などについては周知のこととして割愛する。

<正しい規格を知る・知らせる>
 大多数の鉄道模型愛好者は、自分が楽しんでいる模型の規格を知らない。メーカーや模型店も規格に無頓着か、または積極的に教えようとしないのである。※2
 鉄道模型が玩具か、良くて教材だとしても、工業製品の一つであることは事実だ。工業製品には規格が存在する。当然、モーターをはじめネジ一本にも規格が存在する。模型店では頭部が小振りなネジが“小”や“S”という名で売られているが、工業規格※3では“0番1種”と言わなければ通じない。また最近はモーターの耐電圧や回転数などの定格も公表さてきたが、未だに定格不明な物も出回っている。ユーザーが購入して取り付けたのは良いが、走らせた途端に煙が出たり、パワーパックが発熱したりするのは困るし、最悪、怪我や事故にもつながりかねない。

 鉄道模型の構成部品は細かな工業規格によって作られているが、その完成形たる模型車輌には、守られるべき規格が制定されていないのはなぜだろうか? それにもかかわらず複数のレイアウトに乗り入れできるのはなぜだろう?
※2 いくつかのメーカーは、自社製品の詳細な寸法を公表しているが極めて稀だ。
※3 日本写真機工業会団体規格(JCIS)であり、いわゆるJISやISOではない。

<メーカー優位と、所詮は玩具>
 いくつかの古い模型メーカーが淘汰された反面、ガレージメーカー並みの小規模メーカーが増えた。それらは量販品をディテールアップするパーツなどを供給するに留まり、線路や車輪など“走り”の根幹となる部分には手を出さない。すなわち走る模型を商品として作れる数社のみが、鉄道模型の“走り”を決定づけていると言えよう。我々愛好者はそれに従わざるを得ない。どれだけ精緻な車輛でも、それを楽しく走らせるためには一握りのメーカーの線路と車輪が必要なのだ。
 さて、メーカーは鉄道模型の発展性を考えているのであろうか?

 私は“否”だと思わざるを得ない。ではメーカーは何を考えているのか? 売れる商品を作る、すなわち自社の利益である。異論はあろうがこれは民間企業である限り、避けては通れない事実なのだ。きれい事だけでは企業は潰れてしまう。もちろん精巧なミニチュアという夢の世界を自社の商品に選ぶからには、「子供から大人まで楽しんで欲しい」という理念が有る、と信じたい。
 この“理念”という夢と、“利益”という現実との狭間に何があるのか。私は鉄道模型が「所詮は玩具」※4という事実ではないかと思う。玩具としての夢と、玩具としての現実だ。ミニカーなどの玩具にはメーカーもユーザーも守るべき規格が無い。それゆえ我が国では、鉄道模型の社会的な認知度も、それほど高いとは言い難い。
※4玩具と似たものに「娯楽」がある。映画や音楽、一般人にとってのスポーツも娯楽だ。どれも社会的な認知度は玩具よりも高い。DVDやCD、ボール一つにも細かな規格が存在しているお蔭だと、私は思う。

<規格として制定することが大事>
 以上のように、利便性や安全性を左右する「規格」が、鉄道模型には有るのか?無いのか? 私の結論は、「前記の数社が採用している数値こそが、今後の規格となるので、それを制定し公表することが大事だ」ということである。それを満たしていれば、たとえ自作したパワーパックでも、ガレージメーカーの車輪でも、そして、どこのクラブレイアウトでも問題なく走ることが出来る。 

 数社が必要あって決めた共通の値があるのならば、それを全体の規格として制定し、公表しなければ、万人が安心して鉄道模型を楽しむことはできない。企業の利害関係が規格の制定を阻んでいるのだとしたら、今こそ日本鉄道模型協会(旧鉄模連)や日本鉄道模型の会(JAM)が果たすべき役割は大きいと言えよう。手続きが判らないのであればJISやISO等の公的な第三者機関に相談すべきだ。
 いわゆる“ゲージ呼称論”で歩みを止めるべきではない。

2019年6月11日
高梨哲也
スポンサーサイト
copyright © 2019 Powered By FC2ブログ allrights reserved.