FC2ブログ
 しょうなんでんしゃ のブログ
 1/80くらいの鉄道模型の工作
201910<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201912
OERとナンバー(10)
 OERの切り抜き文字の次にナンバー(車番)を貼った。

 OERと同様、両面テープの残滓で粘着性を保ちつつ、位置決めしてからTHFを差した。
OERナンバー17-4

 2600形なのでナンバーに使う数字も2と6が圧倒的に多い。
OER26編成

 9は6として使えるが、0・3・4・5が全く使われない。0~9まで一揃いの市販品を買うとそれだけ無駄になってしまう。ここら辺が自作エッチングの長所である。ゆえに、ナンバー程度なら誰でも作れる自作エッチングのメソッドを確立すべきだと、常々感じている。
スポンサーサイト



樹脂用接着剤(4)
 樹脂用接着剤の最後は、アクリサンデー社アクリル樹脂用接着剤

塩化メチレン

 成分は二塩化メチレン(methylene dichloride)であるが、これも色々な呼び名がある。
 ・ 二(di-)を省いて塩化メチレン(methylene chloride)。
 ・ メチレンクロライドを略して、愛称:メチクロ。
 ・ ジクロロメタン(dichloromethane) と言うのが一番当たり障りが無いかもしれない。

塩化メチレン02

 二塩化メチレンの化学的性質は、
 ・ 2つの塩素がσ結合の電子をグイグイ引っ張って(電子求引性)、極性(δ-)を有するので様々な有機物を溶かせる。
 ・ 揮発性が高く、浸み込んでクリヤー塗膜を溶かす前に、あっという間に揮発してしまう・・・orz.
 ・ ハロゲン元素の塩素(クロロ:Chloro-、クロル-とも)を含むので水よりも重い(比重=1.33)
 ・ 他の有機溶媒に比べて燃えにくい
 ・ その他、ケトン(R-CO-R’)やエステル(R-CO-OR’)のようなカルボニル(>C=O)を含まないので、酸化還元反応の溶媒に適している。筆者はアルコールの酸化をアルデヒドで止めるPCC酸化では、メチクロとモレシー(モレキュラーシーブス)を愛用していた。もちろん分液ロートでは下層に来るので、取り間違えないよう注意する。

 とまぁ、良い事づくめではあるが、有機ハロゲン化合物は正直あまり使いたくない。

 ハロゲン(halogen) 、特に塩素系有機溶剤は発がん性が懸念されている。事実、ジクロロプロパン(C3H6Cl2)を溶剤として大量に使う印刷業者に胆管がんが多く発生した。そして二塩化メチレン(ジクロロメタン)についても同様に発がん性が疑われている。他にも種々の有機ハロゲン化合物は環境汚染で問題となっており、大気汚染や水質汚濁等の環境基準が決められている。
 ・ フロンは洗浄剤やクーラー・冷蔵庫の冷媒であったが、オゾン層を破壊する
 ・ 水道水ではトリハロメタンの発がん性が疑われているため水質基準が設けられている。
 ・ PCB(ポリ塩化ビフェニル、Poly Chlorinated Biphenyl)は絶縁体・熱媒体として使われていたが、加熱コイルからの漏洩により、カネミ油症事件(1968年)を引き起こした。50年以上経った今でも係争中である。


 以上、有機ハロゲン化合物は有用性と有害性を併せ持つ“両刃の剣”だが、どれも業務用なので我々モデラーが小さな模型にちょっぴり使う比ではないかも知れない。ただあまり気持ち良いものではない。作りたい模型がまだまだ沢山あるので長生きもしたい。

 最後に、そんなハロゲン類の覚え方。
「ふっ(F:フッ素)くら(Cl:塩素)ぶらじゃー(Br:臭素)、愛(I:ヨウ素)の跡(At:アスタチン)♥」


<前回の答え>
 A.ニトリル(R-C≡N)は酸またはアルカリで加水分解され最後はカルボン酸(R-CO-OH)となる。アルデヒドなども対応するカルボン酸から命名される場合が多い。「アセトニトリル(acetonitrile、CH3-C≡N)」が加水分解されると酢酸(acetic acid、CH3CO-OH)となるため、ここから“アセト”が付けられている。
樹脂用接着剤(3)
 THFが硬質塩ビ用だったのに対し、硬質塩ビ用にはタフダイン®という接着剤がある。よく見かける塩ビ管は排水用のグレーのものであり、塗装ブースのダクトに使った“塩ビ管用チーズ”もその配管部品だ。タフダインには数種類あるが手持ちは「青」しかない。(※他には積水化学のエスロン®という塩ビ管シリーズの専用接着剤もあるらしいが、タフダイン以上に種類が多くて微妙に組成が異なる。)



 缶の成分表示は「メチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone:MEK)が40-50%、シクロヘキサノン(cyclohexanone)が15-25%、アセトン(acetone)が15-25%」とある。SDSを見るとそれらの溶媒の他に「酢酸ビニル-塩化ビニル共重合樹脂」が10-20%含有されている。樹脂成分を含むので純粋な溶媒のようにサラサラではなくやや粘性がある。ゆえに今回の自家製エッチングナンバーの貼り付けには原液のままでは使えない。
MEK04.jpg

 タフダインの溶剤成分(メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン)はどれもケトン(ketone:R1-CO-R2)である。シクロヘキサノンは先回出てきた環状ケトン、それ以外は直鎖のケトンであり炭素数が異なる。
MEK05.jpg

 MEKには命名法の違いで複数の呼び名がある。基官能命名法では側鎖名をABC順に呼ぶので「エチル(ethyl)メチル(methyl)ケトン(ketone)」となる。旧来からある慣用名は側鎖名を炭素数順に呼んでいたので「メチル(Methyl:CH3-) エチル(Ethyl:C2H5-) ケトン(Ketone)」すなわち“MEK”である。ちなみにIUPACにおける置換命名法では「炭素4つの直鎖の飽和炭化水素で2番目がケトンになっている」とみるため「2-butanone」であるが、現場では“MEK(メク)”と呼ばれることが多い。

 アセトン(acetone)も慣用名であり命名法上は「2-プロパノン(2-propanone)」や「ジメチルケトン(dimethyl ketone)」であるが、アセトンも十分に市民権を得ている。なぜならばアセトンこそがケトンの語源だからであり、「CH3CO-」をアセト(acet-アセチル(acetyl-と呼ぶ。 例えば、
 ・ CH3CO-H は「アセトアルデヒド(acetaldehide)」
 ・ CH3CO-OH は「酢酸(acetic acid)」
 ・ CH3CO-CH2CO-OH は「アセト酢酸(acetoacetic acid)」
 ・ CH3CO-CH2-COCH3にいたっては「アセチルアセトンacetyl acetone)」である。アセチルアセトン1,3-カルボニルとして面白い挙動を示す。ケトン体よりもエノール体の方が多く、水素イオン(H+、プロトン(proton)とも)が引き抜かれるとアセチルアセトンの陰イオン、すなわち「アセチルアセトナート(acetylacetonate、略号:acac(アクアク)」となる。acac(アクアク)は二座配位子として各種金属と安定な錯体を形成する。
 ・ サリチル酸のフェノール性水酸基が -O-COCH3 となれば「アセチルサリチル酸(acetylsalicylic acid)、通称:アスピリン」である。世界で初めてアスピリンを合成したバイエル社の商品名は「バイアスピリン®」。
DB-BR101.jpg

 さて、アセトンは酸触媒の下で1,2-ジオール(グリコール)や1,3-ジオールと環状アセタール(ケトン由来なのでケタール)を形成してアセトニド(acetonide:“アセトン化された”ともとれる)というジオールの保護基にもなりうる。しかし実際にはアセトンがメタノール2分子とアセタールになった「2,2-ジメトキシプロパン(2,2-dimethoxypropane、CH3-C(OCH3)2-CH3)」を用いる事が多い。アセタール化は可逆反応であるが、生成する五員環・六員環のアセタールが極めて安定なのでアセトニドによるジオールの保護はほぼ定量的に進行する。酸化・還元には強いが酸(acid)には非常に弱く、塩酸をチョロッと加えるだけで簡単に脱保護できる。

 また、単独の水酸基(-OH)をアセチル化(-O-COCH3、-OAcと略す)で保護する場面が多々ある。特に糖(suger)は水酸基ばかりでいつまでも水を離さないので扱いに困る。ところが糖の水酸基をアセチル化することで一気に親水性が失われて有機溶媒に溶けやすくなる。アルコールの水酸基をアセチル化すると酢酸エステル(CH3-CO-OR)が生成する。教科書的には「アルコール(R-OH)と酢酸(CH3-COOH)の酸触媒による脱水縮合」だが、現場では無水酢酸を使った方が簡便である。誰かがアセチル化していると酢酸の酸っぱい臭いが漂ってくる。

 有機化学は呪文のような長~くて小難しい名前ばかりかと思ったら、“メク”だの“アクアク”だの楽しい呼び名もあるのだ。

 Q.アセトニトリル(acetonitrile、CH3-C≡N)」という溶媒がある。「CH3CO-」が無いのに“アセト”が付くのはなぜだろうか?
樹脂用接着剤(2)
 サンアロー®という接着剤がある。イレクター®と呼ばれる組み立て家具用の接着剤であり、樹脂コーティングされたスチールパイプとプラスチックジョイントの隙間に流し込み、双方の樹脂を溶かすことで強固な接着が得られる。
シクロヘキサノン

 成分はシクロヘキサノン(cyclohexanone)と1,3-ジオキソラン(1,3-dioxolane)である。

シクロヘキサノン

 シクロヘキサノンはシクロへキサン(cyclohexane:C6H12)の1ヶ所がカルボニル基(carbonyl:>C=O)となった飽和六員環の環状ケトン(ketone)である。ケトンの語尾は~オン(~one)の場合が多い。
 例) ベンゾフェノン(benzophenone、ケチルラジカルを発生させて溶媒の蒸留に用いられる)、プレドニゾロン(prednisolone、ステロイド骨格の3位がケトン。合成副腎皮質ホルモンいわゆるステロイド剤)など。

 もう一つの1,3-ジオキソランは酸素(O)を2つ含む飽和五員環の環状エーテルであり、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran:THF)と同様に水溶性が高い有機溶媒である。その構造異性体として酸素の位置が異なる「1,2-ジオキソラン」は、“-O-O-”結合を有するので過酸化物に分類される。有機化合物の分子の骨格を表す場合、より小さくなるように付番するという決まりがあるので、1,4-と言うのは誤り(1,3-と同一)であり、1,5-と言うのも誤り(1,2-と同一)である。


 1,3-ジオキソランを眺めているとカマキリやセミの顔に見えてくる(笑)

 カマキリ顔は大体がアセタール(acetal)である。この場合、C4C5位のエチレングリコール(ethylene glycol、HO-CH2-CH2-OH)がC2位のカルボニル(ここではホルムアルデヒド(formaldehyde:HCHO))を保護している格好となる。ホルムアルデヒドを含むのでサンアロー®をPOM(ポリオキシメチレン(polyoxymethylene)またはポリアセタール(polyacetal)、…-O-CH2-O-CH2-O-…)にこすり付けてみたが変化は見られなかった。POMは「デルリン®(デュポン社)」や「ジュラコン®(ポリプラスチック社)」という商品名で呼ばれることもある。
樹脂用接着剤(1)
 樹脂用の接着剤には成分が明示されているものが多い。

 先のテトラヒドロフラン(THF:tetrahydrofuran)は硬質塩ビ板用として使われている。(※塩ビ管とは書かれていない)


 右のフラン(furan)は酸素(O)を一つ含んだ不飽和五員環である。フランの二重結合が水素化されて水素(H)が4つ増えると、左の「テトラ(4つ)ヒドロ(水素)フラン」となる。

THF.jpg
 直鎖状の分子より環状の分子の方が、融点・沸点とも高い値を示す場合が多い。例えばn-ヘキサン(n-hexane、C6H14)とシクロヘキサン(cyclohexane、C6H12)を比較すると、シクロヘキサンの方が融点・沸点とも高い値を示す。これは直鎖よりも環状構造の方がコンパクトであり、より密に存在しているためと言える。このことは密度の差にも表れている。

極性無極性溶媒
 直鎖状のジエチルエーテル(diethyl ether:発音は [イー(th)サー] )と環状のTHFを比較してみる。THFの方が融点・沸点・密度とも高い。さらに「オクタノール/水 分配係数(log Pow)」からも、ジエチルエーテルよりTHFの方が水に溶けやすいことが判る。
エーテル

 水に溶けるためには分子内に極性部分が必要だ。両者の極性部分はエーテル結合の酸素(O)にある孤立電子対(ローンペア:lone pair)である。孤立電子対がジエチルエーテルでは直鎖の真ん中に埋もれているのに対し、THFでは五員環の外側に飛び出す格好となる。五員環に酸素原子が2つある1,3-ジオキソラン(1,3-dioxolane)では、さらに水への溶解性が増している。

 ジエチルエーテルの沸点は35℃と極めて低く、引火性が非常に強いので扱いにも一層の注意が必要となる。大抵の有機溶媒は石油缶(一斗缶)に入っているが、ジエチルエーテルだけは小さいながら強固なドラム缶に入れられていた。薬学的には、ジエチルエーテルは麻酔作用を有する。と言っても麻酔薬だったのは過去の話であり、現在は優秀な吸入麻酔薬が開発されている。筆者は学生実習でマウスの解剖に使った程度だが、今ではこれも動物愛護法に触れるそうだ。

 ちなみに、世界で初めて全身麻酔による外科手術に成功したのは通仙散を発明した華岡青洲(1760-1835)である。
copyright © 2019 Powered By FC2ブログ allrights reserved.