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しょうなんでんしゃ のブログ
 1/80くらいの鉄道模型の工作
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樹脂用接着剤(1)
 樹脂用の接着剤には成分が明示されているものが多い。

 先のテトラヒドロフラン(THF:tetrahydrofuran)は硬質塩ビ板用として使われている。(※塩ビ管とは書かれていない)


 右のフラン(furan)は酸素(O)を一つ含んだ不飽和五員環である。フランの二重結合が水素化されて水素(H)が4つ増えると、左の「テトラ(4つ)ヒドロ(水素)フラン」となる。

THF.jpg
 直鎖状の分子より環状の分子の方が、融点・沸点とも高い値を示す場合が多い。例えばn-ヘキサン(n-hexane、C6H14)とシクロヘキサン(cyclohexane、C6H12)を比較すると、シクロヘキサンの方が融点・沸点とも高い値を示す。これは直鎖よりも環状構造の方がコンパクトであり、より密に存在しているためと言える。このことは密度の差にも表れている。

極性無極性溶媒
 直鎖状のジエチルエーテル(diethyl ether:発音は [イー(th)サー] )と環状のTHFを比較してみる。THFの方が融点・沸点・密度とも高い。さらに「オクタノール/水 分配係数(log Pow)」からも、ジエチルエーテルよりTHFの方が水に溶けやすいことが判る。
エーテル

 水に溶けるためには分子内に極性部分が必要だ。両者の極性部分はエーテル結合の酸素(O)にある孤立電子対(ローンペア:lone pair)である。孤立電子対がジエチルエーテルでは直鎖の真ん中に埋もれているのに対し、THFでは五員環の外側に飛び出す格好となる。五員環に酸素原子が2つある1,3-ジオキソラン(1,3-dioxolane)では、さらに水への溶解性が増している。

 ジエチルエーテルの沸点は35℃と極めて低く、引火性が非常に強いので扱いにも一層の注意が必要となる。大抵の有機溶媒は石油缶(一斗缶)に入っているが、ジエチルエーテルだけは小さいながら強固なドラム缶に入れられていた。薬学的には、ジエチルエーテルは麻酔作用を有する。と言っても麻酔薬だったのは過去の話であり、現在は優秀な吸入麻酔薬が開発されている。筆者は学生実習でマウスの解剖に使った程度だが、今ではこれも動物愛護法に触れるそうだ。

 ちなみに、世界で初めて全身麻酔による外科手術に成功したのは通仙散を発明した華岡青洲(1760-1835)である。
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